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​むし歯治療

​●むし歯を本当に防ぐためには

当院では、「なぜむし歯になったのか」「再発を防ぐためにはどうしたらいいのか」説明することを大切にしています。

なぜなら「むし歯を削って詰めた・被せた」ことは、あくまで人工物で置き換えただけですので、むし歯になった原因にアプローチできていない限りは、将来的に必ず再発します。

むし歯を防ぐためには、「むし歯はどうやってできるのか?」を正しく知る必要があります。

そもそも歯は非常に硬いですよね。

一番表層のエナメル質は、水晶と同じ硬さと言われていますが、これほどカチカチの組織にどうして穴があいてしまうのか、不思議じゃないですか?

「むし歯菌が作った酸によって、歯のミネラルが溶け出す現象」がむし歯です。

と同時に、唾液によって溶けた歯が治る機能も備わっています。すごいですよね。

歯のミネラルが溶け出す「脱灰」と、唾液によってミネラルが溶け出した状態が治る「再石灰化」

この2つのバランスがシーソーのように保たれている限り、むし歯は進行しません。

​このバランスが崩れたときに初めて、むし歯が進行していきます。

脱灰と再石灰化 (2).webp

 再石灰化 

​唾液中のミネラルが歯を修復する

​ 脱灰 

​むし歯菌の作った酸で歯がとける

つまり、むし歯を防ぐ方法は、「脱灰」の機会を少なくし、「再石灰化」を促すことであると言えます。

・脱灰の機会を少なくするには?

結論から言うと、食生活がほぼ全てです。

むし歯菌が酸を作るには、エサとなる糖質(主に砂糖)が必要です。

「甘いものを食べるとむし歯になる」ことはご存じの方が多いと思いますが、これが原因なんですね。

下のグラフは歯が溶けている脱灰の時間と食習慣の関係です。

間食の頻度や、砂糖入りの飲み物を飲む回数によって、歯の脱灰が起きる時間は大きく左右されます。

仮に歯みがきがとても上手な人であったとしても、むし歯を防ぐことは非常に難しいです。

ステファンカーブ1.webp
ステファンカーブ2.webp

​歯が溶けている時間

どちらがむし歯になりやすいでしょうか?分かりますよね。

例えば、のど飴を舐めながらのデスクワーク、砂糖入り缶コーヒーをちょこちょこ飲みながらの長時間の運転などがいかにむし歯のリスクを高めるか、想像してみてください。

それでもなぜ、歯みがきをしっかりするだけでは、むし歯は防げないの?と思う方もいらっしゃると思います。

これは、むし歯ができやすい場所と大きく関係があります

例えば、奥歯の溝はむし歯ができやすい場所のひとつです。

下のイラストと顕微鏡写真は、「奥歯の溝には歯ブラシの毛先は入らないですよ」ということを示しています。

溝の中​、歯みがきできないですよね…

シーラント1.webp
むし歯の成り立ち

もちろん歯みがきは歯周病を防いだり、フッ化物配合の歯みがき粉を使うために大切です。

しかし、「歯ブラシだけでは、むし歯は防げない」ということだけでも、ぜひ知っていただきたいです。

・再石灰化を促すには

フッ素(フッ化物)を正しく使うことが大切です。

唾液だけでなく、フッ素は歯の再石灰化を促し、同時に歯を強化することで、むし歯への抵抗性が高まります。

また、むし歯菌が酸を作る働きを弱める作用もあることから、現在ではフッ化物の使用はむし歯予防を考える上で必要不可欠です。

お子さんの歯科医院での定期的なフッ化物塗布は、保険が適用されます。

乳歯や生えてから間もない永久歯は、まだ十分な石灰化が起きておらず、むし歯が進行しやすい状態なのですが、患者さんにはよく「生えたての歯は、かたまりきっていないコンクリートのようなものです。」と説明しています。

この時期の正しいむし歯予防と定期的なメインテナンスによって、むし歯を予防できる可能性は高くなりますし、重度のむし歯になってから治療…を防ぐことにつながります。

よく誤解されがちですが、フッ化物配合の歯みがき粉を使わない歯みがきには、どんなに一生懸命ブラッシングしたとしても、むし歯の予防効果はほとんどないという考えが、近年の研究では支持されています。

(正しいフッ化物配合の歯みがき粉の使い方は、こちらをお読みください)

​●むし歯の進行ステージ

むし歯はその進行度合いによって、症状・治療の内容や治療後のトラブルの起きやすさが大きく変わります。

一般的に、軽度のむし歯のほうが治療は早く終わりますし、費用負担も少なく済みます。

また、治療後のトラブルも起きにくいです。

 

お仕事や家事などで忙しいと、歯医者にかかる優先順位が低くなりがちなのもよく分かります。ただ、歯科医師が早めの受診をおすすめするのは、こういう理由からなのです。

初期むし歯

C1

初期のむし歯。​

むし歯の深さはエナメル質に​とどまっており、削って詰めたりせずに、経過観察することも多いです。

進行したむし歯

C3

 

むし歯が神経(歯髄)まで及び、強い痛みやしみる症状を伴うことが多いです。

​ここまで進行すると治療回数が増えたり、予想される歯の寿命に影響が出ますが、多くの場合、歯は残せます。

むし歯

C2

むし歯の深さは象牙質まで及び、しみる症状などは出たり出なかったりします。

​多くの場合、1~2回の治療で修復することが可能です。

重度のむし歯

C4

 

​歯髄が細菌感染によって死んでしまい、しみる症状はなくなります。一方で顎の骨や歯ぐきが化膿してきます。

歯を残せるかどうかは、状況によって変わってきます。

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​●むし歯を治療できる回数は限られている

​「むし歯治療は、治療するたびに回数券を消費します」と患者さんにはよく説明します。(お世話になった先生の受け売りです)

イラストは、治療のステージが進むと、それに伴い歯を削る量が増え、一歩一歩抜歯に近づいてしまうことを表しています。

​人工物に置き換わってる割合が大きいほど、再治療できる余地がなくなってしまう と言い換えてもいいかもしれません。

むし歯の修復サイクル

 

​もちろん治療の精密さや材料によって、治療後のもちは左右されますが、天然の歯にはどうしても敵いません。

むし歯で歯を失わないようにするためには、できるだけ回数券を消費しない方法でしっかり治療すること、かつ再発を防ぐためのセルフケアを身につけることが大切です。

お口の中は、湿度が非常に高く、温度変化も激しい上に、毎日休むことなく強い力にさらされ続ける、人工物にとっては過酷な環境です。

どんな材料であっても、年数とともに劣化し、再治療が必要になります。

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​●神経を取るってどういうこと?根管治療について

「むし歯が大きいので神経の治療が必要です」と歯科医院で説明を受けたことはありますか?

​前述のむし歯の進行ステージが「C3」まで進んでしまうと、神経を取る「根管治療」が必要になります。

この段階に至る前に治療できればそれが一番いいのですが、やむをえず根管治療が必要になることもあります。

 

​当院では、いま治療がどの段階で、あとどれくらいで冠が入りますよと説明するようにしていますが、一般的には以下のような流れで治療が進みますので、治療にかかる回数の目安にしてみてください。

​①の段階では麻酔が必要なことが多いですが、②以降ではほとんどの場合、治療に伴う痛みはありません。

根管治療の一般的な流れ

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①​むし歯を除去し、根管(歯の神経の通り道)をきれいにします。

この処置は、歯の状態によって複数回治療が必要です。

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②根管がきれいになったら、ゴムの材料を根管の中に詰めます。

​(根管充填)

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​③根管充填後、冠を被せるための土台を立てます。(支台築造)

​その後、形を整えて型を取ります。

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​④冠をかぶせて治療は一段落です。

​長く持たせるためには、定期的なメインテナンスが必要です。

​●むし歯に関するまとめ

・むし歯は、「脱灰」と「再石灰化」のバランスが崩れたときに進行します。

・歯みがきだけでむし歯を防ぐのは難しいです。

 食習慣とフッ化物の正しい使用が、科学的な根拠のあるむし歯予防です。

・むし歯治療は、病状が進行する前に治療をすることで、回数や費用を少なくできるだけでなく、治療後のもちも良くなりやすいです。

・1本の歯は、治療できる回数券を持っています。

 早々に回数券を消費しないようにしましょう。

・根管治療は、一般的に冠を被せるまでが治療です。途中で中断しないよう気を付けてください。

 

※当院では、より精密で審美的なセラミック修復をご希望の場合、従来の型取りに替えて、口腔内スキャナーを用いることもあります。

 詳しくは、光学印象と口腔内スキャナーご確認ください 

 

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